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【消防士の実際の現場での活動について”火災編”】元消防士が分かりやすくお伝えします!「Part1」

消防車 消防・防災のお話

どうも、元消防士てぃんです。
以前ちょっとご意見を頂きまして、「火災の時に具体的にどうやって火を消しているのか」とか実際に火災の現場に行ったことがある人じゃないと話せないような事を教えて欲しいということでしたので。
今回は火災の時の消防士のリアルな活動内容をなるべく分かりやすくお伝えできればなーと思っています。
(※記事を書きながら1記事じゃ膨大な文字数になりそうだったので、2つに分けることにしました!Part2では、実際の火の中での消防士達の活動について詳しくお伝えしますね。)

てぃん
てぃん

ほんとに昔の経験をめちゃくちゃ思い出しながら頑張って書いたので良かったら最後まで見てね。笑

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火災の現場に到着するまでのお話

消防署の外観の写真

火災の連絡が入る

実は消防士さん達が火災の発生を知る手段はいくつかあります。

災害発生の連絡の図

指令電話基本的にはこの指令電話というもので消防署に連絡が来ます。いわゆる119番通報です。火災を発見した人が119番通報をすると指令室という所にまず電話が繋がります。そこで様々な情報の聞き取りをして指令室から各消防署に対して指令電話出動要請が入ります。


加入電話これは消防署に対して直接電話が掛かってくるパターンです。昔からずっと同じ所に住んでいる方や消防署の近所の方だと近くの消防署の電話番号を知っているので、119番通報ではなく直接電話をしてくるパターンもあるんです。
(※この場合、上の指令電話とは順番が逆になるので出動の準備をしながら各消防署から指令室に火災の発生を伝えます。)


駆け付けこれは直接と言う意味で加入電話と少し似てるんですが、「あそこが燃えてます!」って消防署に直接伝えに来るパターンです。例えばご近所さんとかですね。場合によっては消防署から見てを確認できる事もあります。
(※この場合も指令電話とは順番が逆になるので出動の準備をしながら各消防署から指令室に火災の発生を伝えます。)


地図で火災現場と消火栓の場所を確認する

次に通報があった場所の確認をします。確認方法は消防署の指令端末のPCで地図を見るか、機関員(運転手)の場合は、実際に自分が街中を調査して作った自分だけの地図を見ます。(※消火栓の場所などが詳しく書かれています)

ここで消火栓というものについて簡単に説明させてもらいますね。街中で見た事ある人もいると思うんですが、火災の現場で水を出すためには消火栓の蓋を開けて消防車まで水を引き上げなければいけません。なので火災の現場に行く前の消火栓の場所の確認はとても重要なんです。

消火栓の写真
消火栓の写真

隊長隊長は通報を聞いた後に消防服を着ながら、機関員(運転手)と一緒にどこの消火栓を使うか地図上で確認をし合います。


機関員(運転手)機関員とは消防車の運転手の事です。(※以後機関員と呼びます。)機関員は火災現場を地図で確認した後、どこの消火栓を使うか隊長に報告します。


隊員達消防服を着て誰よりも早く消防車に乗り込みます。隊長と機関員が乗ったらすぐ出発出来る状態です。隊長からは隊員達はとにかく早く消防車に乗ってくれ!消火栓の場所は余裕があれば確認するくらいでいい」と言われていましたね。


消防車の中でのやりとり

そしていざ出動です!
消防車の中でどんなやりとりが行われているのかお話しします。

消防車の写真

火災現場の状況確認(追加指令など)最初の通報を受けて住所などは既に言われていますが、追加で「逃げ遅れている方がいる」「住所の訂正」など様々な情報が入ってくる事が多々あります。ですので、火災現場に到着するまで車の中でしっかりと情報を聞き続け臨機応変に対応します。


車両のGPSや消防無線で他の部隊の位置確認先ほど消火栓の話をしましたが、実は早いもの勝ちなんです。どういうことかと言うと、当たり前ですが基本的に1番早く火災現場に到着した部隊が火災現場に1番近い消火栓を使います。
火災現場には大体5隊ほど消防車が出動しますので、GPSで他の部隊の位置確認をしながら最終的に自分達の部隊が使う消火栓を決定します。
ですので、1番最初の通報を受けた段階で機関員は消火栓を1つだけではなく3つくらい選定しておきます。

機関員
機関員

もしここの消火栓を先に取られてしまったらこっちの消火栓を使おう。


活動方針の確認火災の通報が入った時点で消防士さん達は大体どういう活動になりそうかをイメージしています。

指令室
指令室

火災の現場は○市○番地◯◯団地4階○○号室

隊員達
隊員達

団地の4階かー。じゃあホースは4階から吊り下げかなー。

ホース吊り下げ?

すいません。分かりませんよね。

まあホースの吊り下げって言葉のままなんですけど。
ちょっと想像して欲しいんです。
団地のような場所の階段を1階から4階まで当たり前にホースを伸ばすとどうなると思いますか?
グルグル巻きにに伸びちゃいますよね。こんな伸ばし方をするとホースにしっかり水が乗りません。

だから水を乗せずにホースを束のまま先に4階の玄関先まで持っていくんです。そして階段の踊り場から外に向かって吊り下げるんです。こうすれば真っ直ぐホースが伸びますよね。

団地の外観写真
消防用ホースの写真

ちょっといい写真が見つかりませんでした。笑
要はこのホースにバンドがついてるんですけど、バンドでしっかり止めて束のまま
4階まで運んでからバンドを外して1階まで吊り下げるんです。

長くなりましたが、こんな感じで火災の現場に着いたらどう活動していくかという活動方針を車の中で確認し合います。
今回のホース吊り下げはほんとに1例に過ぎないです。状況によってはベランダ側から梯子を伸ばして活動する事だってあるので。


現場に持っていく資器材の優先順位の確認これも上の話と被るんですが、消防士さん達は通報を受けた段階で大体の火災現場のイメージをしているので、「梯子が必要かどうか」「ライトが必要かどうか」「エンジンカッターが必要かどうか」など、車の中で消防無線を聞きながら最終的に判断します。そして一度に全ての資器材を持っていけるわけではないので優先順位を決めます。
逃げ遅れている方がいるのであればもうとにかく真っ先に助けます!この場合、梯子の搬送やエンジンカッターの搬送が最優先になる事が多いです。
もうほんとに人命救助が最優先事項ですね。

エンジンカッターとは、玄関のドアが施錠中だった時などにドアを切断するための資器材です。


火災の現場に到着してからのお話

火災現場の写真

現場確認(隊長)

火災現場に着いたら、まず隊長が状況を確認します。その間に隊員達は車の中で話し合った通り色んな準備に取り掛かります。そして隊長の状況確認後に「実は通報で言われた住所が間違っていた」という場合など活動方針の変更があれば隊員達は臨機応変に対応します。

消防士の写真

逃げ遅れている方がいないかどうか 逃げ遅れている方がいる場合、まず何よりも優先して梯子を搬送したり、エンジンカッターを使うなどしてドアを開け人命救助を行います。逃げ遅れている方がいるかいないかで本当に活動が変わってきます。


具体的にどこが燃えているかルールとして隊長は火災現場を一巡するように言われているので、その中で今一番火が強くて放水の必要がある場所必要な資器材を無線で隊員達に報告します。
そしてその報告を受けて隊員達はその場所に向かって放水をしたり、資器材を搬送したりします。

(※ここで勘違いして欲しくない事は、隊員達は決して隊長の指示を待っているわけではないということです。車の中で話し合った活動方針を基にみんながそれぞれ消火活動に向かって既に活動を始めています。その中で隊長の無線が入れば臨機応変に動くということです。)

火災の現場はほんとに時間との戦いなんです。


放水するための準備

今お話しした通り、隊長が火災現場の一巡を行っている間に隊員達は何をするかというと放水するための準備を始めます。

消防士の放水写真

消火栓から水を引き揚げる先ほど消火栓のお話をしましたよね。ですので機関員はこの消火栓の近くを狙って消防車を駐車します。そして基本的には機関員が消火栓の蓋を開けた後、吸管というものを使って水を消防車まで引き揚げます。
この太いグルグル巻きのやつが吸管です。

吸管の写真

放水するためのホースを火災現場まで伸ばす機関員が消火栓の蓋を開けたりしてる間に隊員達はホースを火災現場の直近まで伸ばします。先ほどの団地の例で行けば、ホースを吊り下げる所までですね。ちなみにホースは1本20mなので火災現場の直近までホースが何本必要かな?って通報を受けた段階で地図を見ながら計算してます。消防士って意外と頭も使うんですよ。(笑)

昔先輩から教わったんですが、電柱と電柱の間の距離が大体20mらしいです。


機関員と連携して放水を始めるそして、放水の準備が全て整ったら消防無線で連携をとって消防車からホースまで水を乗せます。
※今回は分かりやすくてぃんが放水担当とした例で説明しますね。

てぃん
てぃん

放水始めー!

機関員
機関員

了解!!
放水始めー!

こんな感じ。(笑)
放水担当はしっかりとホースを保持した状態で「放水始め」の報告します。そして機関員は消防車両についているコックを開くと水がホースまで流れます。(※下の写真の黒いレバーみたいなやつがコックです。)

消防車の写真

火災現場で使う資器材の搬送

資器材の搬送も状況に応じて変わります。ここまで話してきた通り、最初の通報の段階である程度はイメージしているので現場に持っていく資器材は車の中で大体決めています。

梯子がいるかどうか例えばですが、2階のベランダに逃げ遅れた方がいる場合、間違いなく梯子を最優先で持っていきます。逆に平屋の住宅であれば持っていかない事もあります。


連送セットこれも重要な資器材の1つなんです。といっても分かりませんよね!説明します。
連送セットとは連結送水管の略なんですけど、下の写真のこういうやつです。ビルみたいな大きい建物には必ずついてるんですけど見たことある人いませんかね?
この連結送水管を使うときに必要な道具が入っているのが連送セットなんです。

連結送水管の写真

じゃあこれを何に使うのか?というと。
例えば火災現場が10階だったとしますよね。
そうなるとホースを10階まで伸ばさなければなりません。さすがにそれは大変!
これはそんな時の為の設備です。
大体1階にこの上の写真のように送水口というものがあります。ここに消防車から水を送ります。
そうすると、この送水口から送水管を通って水が10階まで吸い上げられます。
そして水を送るための送水口があるということは、水を出すための放水口もちゃんと用意されてます。
そしてこの下の写真が放水口の写真です。ここにホースを繋げばここから水が出せます。わざわざ1階から10階までホースを伸ばさなくていいんです!

連結送水管の写真

これもやっぱり最初の通報を受けた段階である程度イメージしてますね。

指令室
指令室

火災の現場は○○区○○番地○○ビル10階◯◯株式会社

隊員達
隊員達

10階かー。連送セット必要だなー。


投光器と発動発電機投光器って要はライトです。ブザーも付いていて、何かあった時の緊急連絡の役割もあるので火災の現場では基本的に必要です。そして発動発電機はそれを使うための電源代わりです。お祭りの時とかに屋台とかでも使ってますよね。
こういうやつ↓

発電機の写真

実際に火の中でどんな活動をしているかは別記事で紹介しています

火災の現場から帰ってきてからのお話

消防署の写真

使った資器材の点検と掃除

これは個人的な意見過ぎますが、プロ野球選手が道具の手入れをする感覚に似ていると思います。(笑)

燃料補給と動作確認火災の現場から帰ってきたら、まず使った資器材などに「傷がないかどうか」など1通り確認をします。その中で発電機など燃料補給が必要であれば燃料補給をします。
そして、次の火災の現場でもしっかりと使えるかどうか再度動作確認をします。


梯子の外観確認と拭き掃除基本的に火災の現場では梯子を使うので、梯子の点検をします。「大きな傷やヘコミがないかどうか」、そして、濡れている事や黒いススなどが付いている事がほとんどなので拭きます。


ホース整理作業

消防用ホース

火災現場で使ったホースを水槽にぶち込む火災現場で使用したホースは洗った後に乾燥して再度使用します。ホースは1度の火災で結構汚れてしまうんですよ。また、穴が空いてしまったりもするのでその場合は乾燥が終わったら穴を塞ぐ修理作業をします。


新しいホースに積み替える使い終わったホースは大体次の日に洗うので上に書いてある通りとりあえず水槽にぶち込みます。それと同時に消防署にある新しいホースを準備して消防車に積み替えます。次の火災現場に備えるためです。


事務処理

意外と知られていませんが消防士にも事務処理があります。体を動かすだけじゃないんです。(笑)

事務処理をする男性

活動報告活動報告というものは、様々な情報を入力して本部に報告するものになります。まあ今までの統計を取ったりとか今後の火災予防に生かす為ですね。
例えば、「どこの消火栓を使ったか」「水は何トン使ったか」「資器材は何を使ったか」「通報から消防署に帰るまでの活動の時系列」「出動した隊員の名前」とかほんとに様々。
書き出せばキリがないです。


火災調査これは火災の原因調査になります。今回の火災は何が原因だったか?を詳細に調べます。例えばですけど、焼け跡の木材とかって下の写真みたいになってます。その木材の中でも「どこの焼け方が1番強いか?」「どっち方向に焼け跡が残っているか?」など図面を書いたり距離を測ったりしながら調査していきます。これも今後の火災予防の為です。

火災調査はぼや程度のちょっとした火災であれば火を消した後にその場で調査して消防署に戻るんですが、家1軒が全焼するような火災の場合は一度消防署に戻ってから次の日に火災調査を行なったりします。
会社員でいう残業みたいなものですかね。(笑)


おまけ

ここまで火災の時の消防士さん達の大変な1日の流れを長々と説明してきたわけですが、もちろん消防士さん達にも息抜きが必要です!
というわけでここからはおまけ。(笑)

消防士の写真

お風呂火災現場から帰ってきたらもうほんとに真っ先にシャワーを浴びたい!
これが本音です。(笑)
でももちろんやる事はやってから。
最低限次の災害があった時には出動出来る準備をして、シャワーを浴びます。シャワー室が1室ずつ分かれていて何室もある消防署ならいいんですが、僕が所属していた消防署はお風呂場が1つだけあってその中にシャワーが2つだったんです。それで、まぁもちろん隊長から入っていくわけなんですが、1人ずつ入るので若手は中々入れない。(笑)
でも当時の上司が凄く良い人で!

上司
上司

おい、時間がもったいない!
一緒に入るぞ!

てぃん
てぃん

いいんですか?
ありがとうございます!

何気に火災から帰ってきた後の上司と2人のシャワーの時間を楽しみにしてました。
誤解しないでくださいね。ゲイじゃないですよ。(笑)
お互い裸とはいえ、上司から色んな話が聞けるのでほんとに貴重な時間なんです。
裸の付き合いってこうう事ですよ。


休憩そしてたくさん体を酷使したから、ちょっとは休憩も必要。
消防士だって事務処理の合間にちょっとお菓子を食べたりもしますよ。
それから、公務員らしからぬジャンケン大会。何の為のジャンケンかはご想像にお任せします。

てぃん
てぃん

はあ、喉乾きましたー。

上司A
上司A

俺も喉渇いたー。

上司B
上司B

うん、俺も喉渇いたわー。

まあこういう感じですね。(笑)


ここまでのお話を聞いて消防士になろうかな!って思ったそこのあなた!
まだ全然間に合いますのでこちらをご覧ください

【まだ間に合う!】東京消防庁に3ヶ月前からの対策で受かる方法。元消防士が試験勉強のコツを教えます。

今日はここまで

今回は【消防士の実際の現場での活動について”火災編”】元消防士が分かりやすくお伝えします!「Part1」でした。次回Part2は今回書ききれなかった火災の時の実際の火の中での活動についてお伝えしますね!

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